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No.216

赤ちゃんのでべそ(臍ヘルニア)

子ども・育児・小児科・産婦人科 | 2020年05月発信

赤ちゃんのおへそ(臍)が飛び出でいるために心配して病院を受診されたり、健診のついでにおへそが飛び出ていると相談されたりすることがよくあります。

これは臍(さい) ヘルニアというもので、母体から酸素や栄養を取り込んでいたへその緒(臍帯)が取れたあとの穴(臍輪)が完全にふさがっていないことが原因です。
へその緒の処置が悪かったために「でべそ」になることはありません。

お腹の皮膚は閉じていても、内側にある筋肉の膜が完全には閉じきらずに、赤ちゃんが激しく泣いたり力んだりするとお腹に圧力が強くかかり、腸や腹膜の一部が外に押し出されておへそが膨らんだ状態になります。この状態がでべそ(臍ヘルニア)です。指で押さえると腸がぐじゅぐじゅとした感じでお腹に戻ります。赤ちゃんによってはピンポン玉くらいの大きさになることもありますが、お腹が破れることはありません。

臍ヘルニアは生後1か月頃から徐々に明らかになっていき生後3か月頃まで増大する傾向にあります。赤ちゃんの約5~10人に1人くらいの割合でみられます。これ以降はお腹の筋肉が発達して、だいたい1歳で80%、2歳には90%が自然治癒します。

そのため以前は何もせずに経過を見ていましたが、最近は綿球によるヘルニアの圧迫療法が見直されています。早い時期からおへそを圧迫して腸の脱出を防止することで、自然治癒を早め、ヘルニアが閉じたあとのおへその皮膚のたるみを防ぐことができることが明らかになっています。
圧迫した綿球の上から防水フィルムを貼るため入浴もいつも通りで問題ありません。
生後3か月以内に治療を開始すると90%以上の赤ちゃんが治癒すると言われています。1歳を過ぎると自然治癒は期待できなくなり、手術が必要になる場合もあるので、気になる場合は予防接種や健診の際にかかりつけの先生に相談しましょう。