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No.215

慢性腎臓病と言われたら食事や薬はどうしたらいいか?

内科・精神・老年 | 2019年07月発信

最近は慢性腎臓病(CKD:chronic kidney disease)という言葉を耳にすることが多くなりました。

 

これは2002年にアメリカで発表された報告から来ているのですが、腎臓に何らかの障害(蛋白尿など)があるために、腎臓が1分間に血液をろ過出来る量を計算式から算出した、推算糸球体ろ過量(eGFR)が60ml/分未満の状態が3ヶ月以上続く状態を指しています。その時点では、自覚症状があまりないため、発見が遅れがちです。

 

なぜCKDが注目され始めたかというと、CKDの状態が長く続くと、心筋梗塞、脳血管障害などの合併症や、腎不全(尿が出なくなり透析や腎移植が必要な状態)になる確率が高くなることがわかったからです。CKDの原因は一つではなく、腎機能が悪くなる病気(糖尿病性腎症、腎硬化症、慢性糸球体腎炎)など多岐に渡ります。

 

最近は健康診断の項目に尿蛋白とともにこのeGFRが表示されるようになり、健診でeGFR低下を指摘され、専門医を受診される方が多くなって来ました。そしてCKD と診断された際、殆どの患者さんが最初に言われるのは、「何を食べたら良いのでしょうか?どのような治療薬があるのですか?」です。

 

専門医の立場からお答えするのは、
(1) eGFRの程度にあわせて蛋白質や塩分を制限して下さい。
(2) 高血圧の方は血圧のコントロールが重要です。
(3) 腎臓を保護する作用のある血圧を下げるお薬などを、医師の判断指示に従って服用して下さい。」です。

 

もちろん、透析導入の一番の原因になっている糖尿病の患者は、食事を含めてその治療が最優先となります。eGFRの値により、制限すべき蛋白質や塩分の量は変わりますので、かかりつけ医に相談の上、1度は専門医の指示を受けた栄養士による食事指導を受けるのが望ましいですね。また、CKDに伴う貧血を改善する薬などの治療も進歩してきていますので、自己判断で有害になることもある「健康食品」などに頼らないようにしましょう。

 

その他、肥満や喫煙は避けて、マラソンや水泳等の激しい運動は控えた方が良い場合もあります。以上のことを守った上で、定期的に検査を受けて、今ある腎臓の機能を出来る限り長持ちさせるように努めましょう。