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No.211

子どもの肥満を予防するための食生活について

子ども・育児・小児科・産婦人科 | 2018年06月発信

子どもにもメタボリックシンドロームがあります。

メタボリックシンドロームは内臓肥満に高血圧、高血糖、脂質異常が組み合わさり、将来心筋梗塞や脳血管障害など命に直結しかねない動脈硬化性疾患を招きます。
小児期、思春期のメタボリックシンドロームのリスクは、肥満の重症度と関連します。
動脈硬化性疾患の多くが成人期発症であっても、動脈硬化の過程は小児期から始まっており、この頃から健康的な食生活の促進、運動と体重コントロールをすることが大切です。
今回、肥満予防のための適切な食生活についてお伝えします。

肥満の予防には、太らない食生活づくりがとても重要です。

太り始める食事の変化として「早食い」、「好きな肉ばかり食べる」、「野菜を残すようになる」、「間食が増える」、「外食が増える」などがあります。
「ながら食い」を避け、食べ物を意識しながら、ゆっくりとよく噛んで食べることは食事の満足感を得るために重要です。
共食(家族全員で食事をする、誰かと一緒に食事をすること)はゆっくり食べることだけでなく、好き嫌いなく、バランスの良い食事をするための指導の場になります。
また食事を介して親子の愛情を確認する場にもなります。
バランスの取れたよく噛める献立にする、大皿ではなく個別に盛り付ける、1日3食のリズムを整える、20時以降は食事を摂らない、清涼飲料の過剰摂取をやめる、外食の回数を減らすなどが、肥満の予防に役立ちます。
栄養学的には、総エネルギー過剰にならないことは当然ですが、食物繊維の不足と脂質の過剰摂取に注意が必要です。
食物繊維は、野菜、果物、豆類、きのこ類、海草、こんにゃくなどのほか、玄米、胚芽米など精製度の低い穀物にも含まれます。
これらの食品は、噛む回数の増加が肥満予防につながるだけでなく、食物繊維における糖の吸収を緩やかにして食後の血糖値の急上昇を抑える働きや、コレステロールの吸収を抑える働きにより、糖尿病、および脂質異常症、さらには心筋梗塞などの動脈硬化性疾患の予防につながります。
脂質は同じ重さで比べると、炭水化物やたんぱく質よりも大きなエネルギーを持っています。
よって脂質の多い食品は少量でも大きなエネルギーを持っており、脂質を摂り過ぎるとエネルギー過剰となります。
余ったエネルギーは体脂肪として貯蓄され、肥満やメタボリックシンドロームの原因となります。
特に飽和脂肪酸の摂りすぎは血液中のLDLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロール)が上昇し、動脈硬化性疾患のリスクを高めます。しかし脂質の中には体内で合成できず、食事から摂取する必要がある必須脂肪酸が含まれる他、脂質の摂取量が少ないと脂溶性ビタミンの吸収を悪くしたり、エネルギー摂取不足になりやすくなるとして、脂質の目標量が定められています。総脂質の総エネルギーに占める割合は20%以上30%未満が基準とされています。
生活習慣の基礎は小児期より形成され、そして成人期を迎え、定まったものになります。
成人後に健やかな生活を送るためにも、小児期から適切な食生活や運動などで肥満を予防することが大切です。