No.207
アレルギー性鼻炎
眼科・耳鼻科・皮膚科・整形外科・外科 | 2017年06月発信
皆様の中にはご自身でもアレルギー性鼻炎を発症されておられる方も多いと思います。もはや日本人の半数が何らかのアレルギー疾患を有していると考えられているそうなのですから、不安を感じる必要はありません。
身体から異物を排除しようとする免疫反応、これが病的に亢進した状態がアレルギーの本質です。要はアレルギーを誘発する原因物質であるアレルゲンが何であるのか、季節性のスギやイネ科であるのか、もしくは通年性であればハウスダストやダニなどの可能性が高くなります。
体内では常にアレルゲンに対する抗体を産生し続けています。高名な寄生虫学の先生によれば、本来アレルギーに対応する白血球や好酸球は寄生虫に対応するために存在していたとの事です。木造住宅で、扇風機や七輪しか寒暖を防ぐ術が無かった時代はアレルギー自体がなかったそうです。
最近では腸間膜のリンパ節がウィルスや細菌に対する抗体を産生するという事が明らかになりつつあります。米国では健常者の保有する腸内細菌を有病者に移植するという治療方法すら存在します。
原腸類から哺乳類に至るまで基本は入口と出口、つまりアレルゲンとのファーストコンタクトの接点である鼻や口、および肛門の周辺に発症の要因があります。そのため生物は体内への侵入を試みる異物から自らを守る免疫学的なバリアーを作る必要性が出てきます。アレルギー性鼻炎の症状である、鼻水やくしゃみなどはその一例なのです。
アレルゲンを取り込まないために鼻を詰まらせ、排出するために鼻水で洗い落とし、くしゃみで叩きだす。つまり侵入を阻止あるいは排出を促進すれば良いのです。マスクはあった方が良いですが、マスクが苦手なお子様も多いでしょうから、ワセリンを鼻腔に塗布をする。入浴の際に花粉をシャワーで洗い落とすなどの方法もあります。
それでも駄目な場合は医療機関で原因も含めて診断いただくことですが、アレルギーの薬の選択はあくまで発症者やその保護者が決定するべきであり、画一的なものではありません。どうか皆様が自分自身に合った薬に出会えることを祈っております。