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No.199

慢性腎臓病(CKD)

内科・精神・老年 | 2016年04月発信

「慢性腎臓病」という病名はあまり耳にしないことがかもしれません。
慢性腎臓病(英文の略称CKD)とは慢性に経過するすべての腎臓病を指します。
「腎臓病」といわれてもピンと来ないと思いますが、患者数は1,330万人(20歳以上の成人の8人に1人)いると考えられています。
CKDの原因は生活習慣病(高血圧、糖尿病など)や、メタボリックシンドロームとの関連も深いとされています。特に糖尿病の合併症である糖尿病性腎症は、透析の原因となる疾患の第1位であり、糖尿病の発生や糖尿病をすでにお持ちの方も合併症には十分気を付けなければなりません。
以前は腎臓の健診というと「尿検査」だけでしたが、最近ではCKDの重要性が認められ、特定健診をはじめ、職場健診でも腎臓の血液検査である「Cr(クレアチニン)」や「eGFR(推算糸球体濾過値)」検査が行われるようになっています。

【CKDの診断基準】

①検査、画像診断、血液検査、病理などで腎障害の存在が明らかであり、特に一定以上の尿蛋白が出ている。
②糸球体濾過量(GFR)60ml/分/1.73㎡未満。(eGFRでグレード推定)
*①、②のいずれか、または両方が3か月以上持続することで診断します。

 

このうち、特に①の「尿蛋白」には十分気を付ける必要があります。尿蛋白が多ければ多いほど、つまり尿検査での蛋白が2+~4+など多くなればなるほど、透析へ進行する可能性が高いといわれています。糖尿病の方は特に腎臓病が進行しやすいので、微量な「アルブミン尿」の段階からの注意が必要になります。

 

【CKDが進行すると?】

CKDが進行すると、人工透析(血液透析、腹膜透析)や腎移植が行われます。2014年度末の統計調査では約32万人の方が透析をされております。
また、腎臓病の進行ととともに脳卒中や心筋梗塞など心血管系の合併症も発症しやすくなるといわれています。

【CKDに対して気を付けること】

CKDの治療は原因にもよりますが、まず生活習慣病を是正することです。特に適切な減塩と血圧管理が重要とされています。CKDが進行すると、タンパク質摂取制限やカリウム制限が必要となることもあります。かかりつけ医・専門医の指示を守り、特に日頃の食生活に注意しましょう。また、グレードに合わせた適度な運動も心掛けていきましょう。