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No.198

ノロウイルス感染症

感染症 | 2016年01月発信

ノロウイルスによる感染性胃腸炎や食中毒は、毎年11月から1月頃に流行します。強い感染力を持つため少量のウイルスでも感染は拡大し、インフルエンザウイルスと同様に遺伝子が変異(現時点でヒトに感染するタイプのものが30種類以上あり)しやすいため、何度も罹患するという特徴があります。治療は対症療法しかないことと、幼児や高齢者や入院患者では重症化することがあるため、ノロウイルスの特徴をよく知り、感染予防することが重要です。

【感染経路】

①ヒトからヒト:患者の便や吐物から人の手などを介して二次感染した場合
②食物媒介:汚染された二枚貝を加熱不十分で食べた場合や感染した食品扱者により汚染した食物を食べた場合
③水媒介:ノロウイルスに汚染された井戸水や簡易水道を消毒不十分で摂取した場合

【症状】

潜伏期は12~48時間で、下痢、嘔吐、嘔気、腹痛の出現が特徴ですが、いずれかの症状のみであったり無症状の人もいます。健康な人では1~3日後に自然に回復しますが、幼児や高齢者や入院患者では4~6日も症状が持続し重症化することがあります。ウイルスは便や吐物に排出され、長ければ4週間後まで便中に検出されます。

【治療】

現在、このウイルスに効果のある抗ウイルス剤はないため治療は対症療法のみで、重症度に応じて補液(経口補水療法、経静脈輸液)や整腸剤内服などが行われます。

【予防方法】

①手洗い:手指に付着したウイルスを減らす最も有効な方法は手洗いで、石鹸にはノロウイルスを失活する力はありませんが、併用することで手の脂肪等の汚れを落とすことにより、ウイルスを手指から剥がれやすくする効果があります。
②環境整備:アルコールでは効果不十分で、次亜塩素酸ナトリウム(塩素濃度200ppm、家庭用の塩素系漂白剤でも代用可能)や85~90℃で90秒以上の熱処理で完全に失活化できます。
③食品:中心部が85~90℃で90秒以上の加熱によりウイルスを失活化できます。
④ワクチン:現在開発中であり、将来的な導入が望まれます。