No.186
花粉症の新しい治療法:舌下免疫療法
内科・精神・老年 | 2014年08月発信
花粉症とは、植物の花粉を吸いこんでクシャミ、鼻水、鼻づまりなどの鼻炎の症状や、目やのどのかゆみ、咳、などの色々な症状が起こることです。代表的なものは3月頃に大量に飛散するスギの花粉症ですが、その他にも、4月のヒノキや、初夏のイネ科の雑草、秋のブタクサに代表されるキク科の雑草など、真冬以外は色々な花粉が花粉症を引き起こします。
花粉症によって起こる鼻炎の症状をアレルギー性鼻炎と言いますが、アレルギー性鼻炎には色々な治療が行われています。代表的なものは、薬を飲んだり、鼻に入れたりする薬物療法です。簡単ですが対症療法と言って、あくまでも症状をおさえるためのもので、花粉症を治すというわけではありません。
花粉症を治すには、体質を変えることが必要です。体質を変えるために行われて来たのは免疫療法と言って、花粉症を引き起こす原因となる花粉を少しずつ体内に入れて、体を慣らす治療法です。
今までは、スギ花粉症であればスギ花粉のエキスを少しずつ体内に注射する方法が行われて来ました。少しずつエキスを増量して2年間ぐらい続ければ効果はあります。しかし、注射で気分が悪くなったり、じんましんがでるといった副作用も多いために、あまり普及しませんでした。
副作用を少なくするために、注射ではなくエキスを口の中に含む方法の研究が行われ、ようやく2014年の春にスギ花粉症の治療用エキスが承認、発売されました。目薬のようなスギ花粉のエキスを少しずつ口の中に含むという方法で、口の中が少し腫れたり、痒くなったりすることはあっても、じんましんやショックなどの重い副作用はほとんどありません。ただし二年間ぐらい毎日、根気よく続けなければなりません。
現在のところエキスの生産が遅れており、まだまだ一般的には知られていませんが、今後徐々に普及していくと思われます。
アレルギー性鼻炎の原因には花粉以外にも、家のダニなども多いのですが、ダニエキスも近々登場する予定です。
目薬のような液体ではなく、キャンディーのような薬になれば毎日の服用も簡単になり、ますます普及しやすくなると思われます。将来は、花粉キャンディーを食べておけば花粉症が治るという時代がくるかもしれません。ダニキャンディーはいかがですか。