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No.179

弱視について

眼科・耳鼻科・皮膚科・整形外科・外科 | 2013年09月発信

 新生児の視力は0.01程度です。その後はっきりピントを合わせて物をみることにより3,4歳頃には1.0程度まで発達します。この視力発達の時期になんらかの原因で物をはっきり見ていなかった場合、物をみる機能が発達せず視力不良となります。これを弱視といいます。視力が発達する時期は限られており、1歳半頃がピークでその後徐々に減少し10歳頃までと言われています。この時期を逃してしまうと後で治療しても視力の発達が困難となります。

弱視の種類

1.屈折異常弱視

 両眼にある程度以上の遠視、乱視、近視(まとめて屈折異常といいます)があり、ものがはっきり見えていない場合に起こる両眼性の弱視です。遠視が多く、近視は近くがはっきり見えるため少ないです。治療ははっきり見えるように眼鏡を常用することです。治療により速やかに視力の向上がみられることが多く、予後は良好です。

2.不同視弱視

 両眼の屈折値にある程度以上の差があり、一方の眼ははっきり見えるがもう一方の眼がはっきり見えない時に起こる片眼性の弱視です。遠視に左右で差がある場合に多いです。治療は眼鏡の常用で、経過をみて視力の発達が良くなければいい方の眼を隠す(健眼遮蔽)こともあります。予後は比較的良好です。

3.斜視弱視

 いつも同じ方の眼がよっている斜視でよっている方の眼が抑制されて視力が発達しない弱視です。生後早くから起こる乳児内斜視で多いです。治療は健眼遮蔽で、屈折異常の合併があれば眼鏡装用もします。上記2つよりは治療が困難で最終視力が1.0に達しないことも多いです。

4.形態覚遮断弱視

 視力の発達時期に視覚情報が遮断されて起こる弱視で、片眼性も両眼性もあります。視覚情報が遮断される原因としては先天白内障、眼瞼下垂などがあります。治療は原因の除去で、除去後健眼遮蔽、必要あれば屈折矯正もします。予後は発症時期、原因を除去できた時期、片眼か両眼か等によって変わりますが上記3つより視力予後が良くないことが多いです。
 

  1. 弱視は弱視の早期発見治療が一番重要です。眼の位置のずれ、瞼の状態、顔の位置の状態、黒目の濁り、物をみる時の眼の動き、片眼を隠した時の嫌がり方などを確認し、おかしいと感じれば早い時期に眼科を受診した方がいいです。屈折異常弱視、不同視弱視では見た目では分からないことが多いので3歳時健診を必ず受け、必要と判断されれば放置せず眼科で精密検査をしましょう。
  2. 視力の発達時期は前述のように10歳頃までと言われてきました。しかし、最近10歳以上で発見された弱視でも治療に反応した人がいるとの報告もあります。早期発見が重要ですが発見が遅れた人でも初めからあきらめずに一度治療をしてみる必要があります。
  3. 最後に弱視の眼鏡は現在保険適応となっています。保険請求には申請書、治療用眼鏡の作成指示書、領収書などの提出が必要となりますので、かかっている眼科、もしくは保険者に確認して下さい。