No.176
風疹ワクチン
予防接種 | 2013年05月発信
現在、風疹(しん)が全国的に流行しており、流行はさらに拡大しつつあります。風しんは、特に妊娠初期の女性がかかると、「先天性風しん症候群」という病気をもった赤ちゃんが生まれてくる可能性があります。風しんはワクチンで防げる病気です。以下の説明を読んでいただいて、必要と思われる方はぜひともワクチンを受けましょう!
1.風しんと先天性風しん症候群について
風しんは、風しんウイルスが、口や鼻から入ることで感染します。潜伏期間は2~3週間で、主な症状は、頸部などのリンパ節の腫れ、発疹、発熱などがあります。特効薬はありませんが、通常、経過は良好で、多くの場合自然に治ります。ただし、時に関節炎、血小板減少性紫斑病、脳炎といった合併症を起こすことがあり、脳炎等では死に至ることもあります。その他、特に重要な合併症は先天性風しん症候群です。妊娠初期(特に20週まで)の女性が風しんに感染すると、白内障、心疾患、難聴を主症状とする病気をもった赤ちゃんが生まれてくることがあり、それらを併せて「症候群」と呼ぶのです。
2.風しんワクチンと麻しん・風しん(MR)混合ワクチン
風しんワクチンは、弱毒化した風しんウイルスを用いた「生ワクチン」で、95%以上の発症予防効果が認められ、重大な副反応はほとんどありません。ワクチン接種で、1.でふれた風しんの合併症が生じる可能性も絶対ないわけではありませんが、風しんの自然感染で合併症がみられる割合よりもさらにはるかに低率です。
MR混合ワクチンは、現在こどもの定期接種に用いられており(こどもは、定期接種をしっかり受けましょう!)、風しんワクチンに、麻しん(はしか)のワクチンが混合されたもので、副反応としては発熱がやや多いですが、麻しんも予防出来るので非常に有用です。
ただし、どちらも生ワクチンというタイプで妊婦には接種できません。また、女性が接種した場合、接種後2ヶ月間は避妊することが必要です。
3.ワクチン接種の必要な人
一番必要性が高いのは、風しんの免疫がない妊娠前の女性とその家族ですが、それ以外でも風しんの免疫がないと考えられる人は早急に接種する必要があります。風しんにかかったという記憶はあまりあてになりません。抗体を調べる方法もありますが、検査にはかなり費用がかかり、結局免疫がなければ手間と費用が倍増しますので、かかったことが確実でなければ、とにかく接種することをお勧めします。免疫のある人に接種しても通常害はなく、免疫力はさらに強化されます。ちなみに1962年4月1日以前に生まれた女性、1979年4月1日以前に生まれた男性は風しんワクチン接種制度がなかった世代です。
また、ワクチンを受けた人でも1回のみの人は、5~10年以上経過していれば免疫力が低下している可能性があり、もう1回受けることが望ましいです。ちなみに1990年4月1日以前に生まれた人は、風しんワクチンの接種制度があった世代でも1回のみの世代です。
なお、風しんワクチンが必要な人は、多くは麻しんワクチンも必要(こちらも2回接種が必要とされる)であり、ぜひともMR混合ワクチンを受けることをお勧めします。