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No.160

RSウイルス感染症

感染症 | 2011年10月発信

No73で紹介していますが、冬風邪の代表疾患の1つで、全年齢で発症します。1歳までに70%、2歳までにほぼ100%のお子さんがかかるといわれています。特に2歳までの乳幼児で重症化しやすいので小児科の病気と思われがちですが、高齢者の間(高齢者療養施設など)でも流行・重症化の報告があります。

症状は鼻水・咳・発熱などいわゆる風邪の症状が主で、強い咳と透明でネバネバした鼻水の非常に多いことがRSウイルス感染を疑うきっかけになることが多いです。最初はただの軽い風邪だったのがだんだんひどくなりゼイゼイ・ゼロゼロといった喘息様の咳を認め、数日間高熱も続くというのが一般的な症状です。時に嘔吐など腹部症状も見られることもあります。病初期にはごく軽い風邪(鼻水と少しの咳だけで元気もある)のようであったのに半日から一日ととても速いスピードで喘鳴・呼吸困難・チアノーゼや無呼吸発作が出現するような重症化の例を特に1歳未満の乳児で見ることがあるため、1歳未満の乳児でRSウイルスと診断された場合には全身状態が悪くなくても入院を勧めることも多いです。また幼児(1歳以上、年長児)では咳の症状はあまり前面に出ず高熱を呈することがあり、時期的にも症状的にもインフルエンザと診断が難しいこともあります。

診断は鼻汁から簡易検査が出来ますが、入院の適応となる患者様と乳児(1歳未満)までしか保険適応がありません。したがって実際の外来診察の場面では症状や感染状況、身体所見などから推測することが多いです。

治療は対症療法が中心となります。RSウイルスに効く(ウイルスを殺したり増殖を抑える)薬がないからです。特に病初期からの大量の鼻水を認めることが多く、これが呼吸困難につながるので鼻水をしっかり除去してあげることが大切です。またウイルスに効く薬がない分、予防対策が非常に重要となってきます。

RSウイルスの感染経路は飛まつ感染(くしゃみやつばなどからの感染)と接触感染(飛まつを触った手からの感染)ですので、手洗い・うがい・咳エチケットがとても重要かつ有効です。しかし感染力が非常に強いですから、特に流行時期には人ごみは避けるように気をつけましょう。RSウイルスに対する予防接種もありますが未熟児で生まれた児や先天性心疾患・呼吸器疾患を持った児にしか保険適応がありません。注射を打つ必要がある(適応がある)場合には流行時期前から終息する時期(10月から3月)まで毎月1回注射を打ちます。感染流行時期などはかかりつけ医もしくは加古川市感染症情報なども参照してみてください。感染流行が確認されている、いないにかかわらず、手洗い、うがい、咳エチケットは徹底しましょう。また多くは年長児から乳幼児にうつることが多いように見受けられますので特に鼻水の強い子は、たかが鼻水と侮ることなく下のお子さんとは別々に行動するようにしましょう。特に喘息の人、基礎疾患のある人はこの時期十分注意して予防に努めて下さい。