No.153
正常眼圧緑内障
眼科・耳鼻科・皮膚科・整形外科・外科 | 2011年03月発信
緑内障は中高年の失明原因の中でも、糖尿病網膜症と並んで上位を占める病気で、現在は1位となっています。
緑内障にはいろいろなタイプがありますが、簡単に言えば「視神経(物を見るための神経)が障害されて視野に異常をきたす病気で、眼圧が高くなる(眼球が硬くなる)ことが大きな原因となる」という病気です。急性のタイプは強い眼痛や頭痛を伴い、早急に治療を行なわないと失明してしまうこともありますし、慢性のタイプでも、懸命な治療によっても失明に至ってしまう方がいるのも事実ですが、近年の診断・治療の進歩により、早期発見、早期治療により、寿命を全うするまで視野を維持できる病気になってきたのも事実です。
2000~2001年にかけて行なわれた調査の結果、日本での40歳以上の緑内障の方の割合は5.8%(17人に1人)で、その8割は慢性のタイプ。さらに、そのうちの9割(3.6%、28人に1人)を占めるのが今回説明します正常眼圧緑内障であることがわかりました。
正常眼圧緑内障は、眼圧が正常範囲内なのに視野が徐々に欠けていく病気です。初期のうちは全く自覚症状がなく、進行して初めて、視野狭窄などの症状を自覚するようになります。眼圧が高くなく、視力低下や眼痛などの自覚症状もほとんどないために見逃されやすく、人間ドックや、他の病気で眼科を受診し、眼底検査や視野検査を行なって偶然に発見されるケースも少なくありません。幸い視野異常の進行は遅く、5年、10年という単位で少しずつ進行して行くことが多く、急に見えなくなることはまずありません。
治療は通常、今の眼圧をさらに低くするための点眼を行い、この治療を長期にわたって継続していく必要があります。しかし、残念ながら一度失われた視野はいくら治療をしても回復することはなく、現在の視野の状態を保っていくことが最終的な治療目的になります。そのため、早期発見、早期治療開始が大切なのです。
正常眼圧緑内障を含め、緑内障と思われる方のうち、8~9割の方がまだ治療を受けていないとも言われています。
40歳を超えたら、一度は眼科で緑内障を含めた眼のチェックを受けられることをお勧めします。