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No.140

関節リウマチ(以下リウマチ)治療の歴史的転換

眼科・耳鼻科・皮膚科・整形外科・外科 | 2009年10月発信

リウマチは原因のわからない炎症が関節に起こる病気です。
このリウマチは難病という印象が強く、実際治療困難な場合があります。

リウマチの治療目標はこれまで、“リウマチの炎症を抑えて(緩和)患者さんの日常生活(ADL)を守る”ということでした。ところが今年の欧州リウマチ学会から“寛解に向けて治療しなさい”にかわりました。
寛解とはリウマチの症状がなくなった状態を言います。白血病などと共に原因がわからないので治った(治癒)とはいいません。しかしこの表現はリウマチの治療目標が高くなり患者側からはリウマチからの解放が現実のものになったことを意味します。

このような目標を掲げることができるようになった背景には“生物学的製剤”と呼ばれる新薬の出現があります。これらの新薬の効果は素晴らしく50%近い寛解が得られています。症状が無くなる患者さんが5割なので実際楽になった(効果あり)患者さんは私の経過では8割位あるように思われます。副作用も薬によって違いますが私の施設で使用している薬剤ではほとんど経験していません。(全くないわけではありません)

もはやリウマチは治らない病気ではなく薬を飲まなくても症状がないいわゆる“ドラッグ(薬剤)フリー寛解”をめざす時代です。このためリウマチを疑いのある方にお願いしたいことがあります。

それは関節がいたむ(破壊される)時期はリウマチになって2年以内です。一度破壊された関節は元に戻らないので、怪我もしてないのに関節がはれる、こわばる方は早く病院に行きましょう。手遅れはないけど少しでも条件がよくなります。

全体として治療が上手くいくようになったからこそ早期にリウマチの治療を開始することが強く求められています。