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No.134

小児の紫外線対策

子ども・育児・小児科・産婦人科 | 2009年04月発信

子どもに対する適切な紫外線対策

近年、オゾン層の破壊により地表に届く有害紫外線の増加と社会の高齢化などから、皮膚がんの増加が問題となり、乳幼児期からの紫外線防御の必要性が広く知られるようになりました。そして、さまざまな子ども向けUVケア商品が宣伝、販売されるようになり、それにあおられ神経質になってサンスクリーン剤(日焼け止め)を塗りすぎる例があるかと思えば、まったく無頓着で水ぶくれになるほどに日焼けをさせてしまった場合もあります。子どもに対する適切な紫外線対策を年齢別に示します。

乳児期の紫外線対策

一人で遊びに出ることはできないので、大人がレジャーや家族の用事につきあわせて外に連れ出すときに気をつけなくてはいけません。基本的にまだ皮膚が薄く、バリア機能が弱いのでサンスクリーン剤を塗ることはお薦めできません。サンスクリーン剤による接触性皮膚炎をおこしやすいのです。さらに乳児期は湿疹が出ていることが多いのですが、湿疹部位にサンスクリーン剤を塗ると必ず悪化します。したがってこの年齢ではサンスクリーン剤に頼るのではなく、直射日光をできるだけ避けるようにすることが大切です。つばの広い帽子、袖のある上着などを使用してできるだけ肌の露出を抑えるようにします。骨の成長のためには紫外線も必要ですが、あえて日光浴などしなくてもいいでしょう。

幼児の紫外線対策

自分で歩き始めると、乳児期と違ってなかなか親の思うようになりません。帽子や長袖のシャツも嫌がるでしょうが、「陽にあたり過ぎることは体にはよくない」ことをいい聞かせてください。すぐには効き目がなくてもあきらめないで言い続けることが大切です。
そしてこの時期にはサンスクリーン剤が必要です。どんなサンスクリーン剤を使うかは、どのくらいの時間日光にさらされるのか、季節や場所によって選んでください。サンスクリーン剤は始めは片方の前腕部など一部分に少しつけて2,3日様子を見て変わったことがなければ広い範囲で使ってください。軟膏などと違ってたっぷり塗らないと効果は半減します。また汗をかいたり、洗ったり、時間がたったりした場合は塗りなおすようにしましょう。そしてサンスクリーン剤を塗ったら夜にはお風呂でしっかり洗い落とすことも大切です。しかしゴシゴシこすり過ぎないように石鹸をよく泡立ててていねいに洗ってあげてください。クレンジングクリームなどのメイク落としなどを使ってもよいです。
さらにUVカットの帽子や衣類、車窓に貼るUVカットシートなども最大限利用しましょう。

学童の紫外線対策

学童期になると屋外スポーツで長時間紫外線にあたることが増えてきます。紫外線対策の必要性を本人がしっかりと認識できるようにする、その上で出来る限りの対策をとることが必要です。方法は幼児期と同様です。本人だけでなく学校の先生やスポーツクラブの指導者の方にも紫外線防御の必要性を認識してもらうことも重要です。

“お日さま”と上手につき合う

紫外線そのものは確かに有害ですが、太陽光線は地球上にはなくてはならないものです。子どもたちにとって明るい戸外でいろんな人とふれ合い、多くの仲間たちと一緒に遊んだり、行動したりすることは精神的発達のために大変重要なことです。そして光による刺激も人体には必要です。過敏に反応することなく日光とうまくお付き合いしてください。

<参考> 
サンスクリーン剤の表示について
SPF:UVBによるサンバーン(日焼け;日光にあたったその日に赤くなる)に対する効果
PA:UVAによるサンタン(色素沈着;日光にあたって3,4日たって黒っぽくなる)に対する効果