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No.218

喫煙、慢性閉塞性肺疾患 (COPD) と新型コロナウイルス

感染症 | 2021年01月発信

喫煙が肺に与える害というと「肺がん」が有名ですが、実はそれだけではありません。
慢性閉塞性肺疾患 (COPD) と呼ばれる病気も喫煙が大きく関与しています。
有害な空気を吸い込むことで、空気の通り道である気管支が狭くなったり (慢性気管支炎)、体に酸素を取り込む肺胞がつぶれる (肺気腫) 病気です。
原因の9割以上が喫煙のため、俗に「タバコ病」と呼ばれています。タバコの煙を浴び続ける (受動喫煙) だけでも、COPDになる可能性があります。
喫煙の開始年齢が早いほど、また1日の喫煙本数が多いほどCOPDになりやすく、進行しやすいと言われていますが、多くはタバコを吸い始めて20年以上過ぎた頃から、階段を上がると息切れするとか、咳や痰がよく続く等の症状で始まります。
「最近風邪を引きやすくなった」とか「年をとったから」と勘違いして、COPDの発症に気づかないことも良くあります。
しかし、完全に禁煙しないと症状は悪化の一途をたどり、最後には酸素ボンベがないと日常生活が全く出来なくなります。
しかもこの病気は、肺炎などに罹ると一気に病状が悪化し、入院が必要になることもあります。
タバコの煙はどんどん肺を壊していき、一旦壊れた肺は元には戻りません。
COPDは薬で症状を抑えたり、進行を抑えることはできても、完全に治すことは出来ないのです。
まずはタバコの煙を吸わないことと、少しでも早く病気を発見することが大切です。

 

近年、加熱式タバコや電子タバコに切り替えたから大丈夫だと言われる方も見受けられますが、これらの新しいタバコが、従来のタバコに比べて健康への害が少なくなるかどうかは、まだ明らかになっていません。
また新しいタバコも周囲にいる人への受動喫煙の危険性が指摘されています。
一般的には煙が出ない、あるいは見えにくいとされていますが、特殊なレーザー光を加熱式タバコを吸う人の呼気に照射すると、大量のエアロゾルが排出されることがわかっており、新しいタバコも見えにくいだけで、従来のタバコと同様に有害物質を含むエアロゾルを排出していると考えられます。
COPDを早く知るためには、スパイロメーターという装置を使って肺機能検査をすることが大切です。胸部レントゲンや心電図では早期に発見することは困難です。この検査は装置に何回か大きな息を吹きかけるだけで終了します。

 

また新型コロナウイルス感染症と喫煙、COPDの有無についても現在様々な関係が明らかになってきており、いくつかの論文をまとめたデータによると、現在喫煙をしている方は、喫煙していない方と比べて新型コロナウイルスに感染した場合に約2倍重症化しやすくなり、COPDを有している方は、COPDでない方に比べて約4倍重症化しやすいというデータが示されています。
2020年4月に受動喫煙防止法 (改訂健康増進法) が施行され、屋内での喫煙が原則的に禁止になったことも踏まえた上で、今一度禁煙について考えてみてはいかがでしょうか。