No.169
不活化ポリオワクチン定期接種はじまる
予防接種 | 2012年09月発信
48年間定期接種であった経口生ポリオワクチン(OPV)が2012年9月1日より定期接種から外れ、新たに単独不活化ポリオワクチン(IPV)が定期接種に導入されました。さらに、2012年11月よりこれまでの3種混合にIPVを加えた4種混合(DPT-IPV)が定期接種に導入されます。この度のポリオワクチンの変更や、今後のポリオワクチン接種方法等について質問形式でまとめてみました。
1.なぜ経口生ポリオワクチンが定期接種から外れるの
わが国では1980年以降自然に感染するポリオの発生を認めていませんが、「ワクチン関連麻痺」と言われる、接種した経口生ポリオワクチンにより子供がポリオを発症したり(100万人に2~4人)、さらに接種した子供から二次感染したりすることがあるためです。厚生労働省によると、2001年以降の10年間で15人がワクチン接種による被害と認定され、6人が二次感染と確認されています。
2.不活化ポリオワクチンが定期接種に導入される理由は
不活化ポリオワクチンでポリオを発症することはなく、二次感染もありません。「ポリオの流行がない欧米や多くの国々では不活化ポリオワクチンに切り替えて今のところ問題はない」というのが大きな理由です。
3.わが国での不活化ポリオワクチンに問題はないの
経口生ポリオワクチンはポリオの感染予防にきわめて高い効果を有しています。きちんと接種すれば一生感染予防効果があるとも言われています。しかし、不活化ワクチンは生ワクチン比べると予防効果はやや劣るようです。不活化ポリオワクチンの感染予防効果がどれほどの期間続くのか。現在予定されている4回接種で十分なのか。さらに追加は必要ないのか。もし必要なら、いつ頃接種すればいいのか。今なおポリオが流行している国がありますので、もし再びわが国でポリオが流行した場合不活化ポリオワクチンだけで対処できるのか。これからも色々と問題はありそうです。
4.不活化ポリオワクチンを受ける対象者は
これまで経口生ポリオワクチンを2回接種した人は不活化ポリオワクチン接種の対象になりません。生ポリオワクチン未接種あるいは1回のみ接種の人が対象となります。またこれまで個別に不活化ポリオワクチンを接種してきた人も対象となる事があります。かかりつけ医とよく相談をしてください。
5.11月から4種混合ワクチンがはじまりますが、その対象者は
2012年の11月からは現在の3種混合(ジフテリア・百日咳・破傷風)に不活化ポリオワクチン(IPV)を混合した4種混合ワクチン(DPT-IPV)が定期接種に導入されます。被接種者の負担を軽減するとともに、接種率を上げるためです。その対象者は3種混合も単独不活化ポリオも接種していない子供達です。原則どちらか1つでも接種していたら4種混合ワクチン接種の対象になりません。これはDPT-IPVに使われている不活化ポリオワクチンと単独不活化ポリオワクチンに使われている株が違うのが一因です。ただ、国の臨床研究によって単独不活化ポリオワクチンと4種混合ワクチンを併せて使用した場合でも同等の効果が得られることが明らかになっていますので、どちらかのワクチンの不足等が生じた場合には併用しても差し支えはないとされています。