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No.156

痛風・高尿酸血症といわれたら

内科・精神・老年 | 2011年06月発信

マケドニアのアレキサンダー大王、宗教改革のルター、芸術家ミケランジェロ、万能の天才レオナルド・ダ・ビンチ、大モンゴル帝国の元祖フビライ、大航海者コロンブス、万有引力発見のニュートン、進化論のダーウィン等々歴史上の錚々たる有名人達が、実は痛風に悩んでいたことをご存知だったでしょうか?だからと言って、誰もその点だけはあやかりたいとは思われないでしょうが・・・。

では痛風とは一体どんな病気でしょうか?ある日突然、足の親指の付け根が激烈に腫れあがって痛み、歩くこともままならなくなる病気と言えばお分かりの方も多いかと思います。体の老廃物の一部である尿酸が、体内で過剰に作られるか、腎臓からの排泄が低下するかして、性・年齢を問わず血液中の濃度が7mg/dLを越えた状態を高尿酸血症と言います。そして血液中に溶けきれなくなった尿酸の結晶が関節などに沈着し、痛みを伴う関節炎を発症した状態が痛風発作(=痛風関節炎)です。約70%以上の初発部位が、足の付け根の関節ですが、他の関節(足首、くるぶし、膝、手の指の付け根、手首等)でも発症することがあります。

歴史的には、肉食文化の西欧では古くはエジプト文明のミイラにすでに痛風が発見されていますが、日本では食生活の西洋化が始まった明治以降になって初めて報告されるようになった病気です。そして現代では、以前の50歳代ではなく30歳代にまで発症年齢の若年化が進行中で、これはちょっとゆゆしき問題なのです。なぜなら、尿酸値が高いと腎障害を起こしたり、色々な生活習慣病を合併しやすいことがわかってきたからです。
治療は、①食事の量を抑えて、肥満の解消(痩せるだけで尿酸値は下がる)、②十分な水分摂取(排泄促進)、③飲酒(特にビール)を控える(アルコールはそれだけで、肝臓での生産亢進、腎臓からの排泄抑制作用がある)、④適度な有酸素運動を続ける(体重コントロールのため)、⑤ストレスの発散(せっかちで行動的な、いわゆるストレス人間に痛風は多い)等の生活習慣の改善です。そして具体的には尿酸値を6mg/dL以下に下げることです。それだけではコントロールできない場合には内服治療薬があります。尿酸の生成を抑制する薬と、排泄を促す薬の2種類があります。が、これらの薬は腎機能が低下していると使いにくかったのですが、最近ある程度腎機能が悪くても使用できる新薬が登場し、治療の幅が広がってきました。
いずれにせよ健康診断などで尿酸値が高いと言われたら、過去の偉人たちの不幸な轍(てつ)を踏まないように、早めに医療機関の受診をお勧めいたします。