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No.148

「子宮頸がんは予防できる」って知ってました?

予防接種 | 2010年09月発信

ワクチン接種と子宮がん検診受診が大切
今日本では年間約1万5千人の女性が新たに子宮頸がんを発症し、そのうち約3千5百人の方が死亡されています。近年その子宮頸がんは、ヒトパピローマウィルスというウィルスの感染でおこる事がわかりました。現在約100種類ほどのヒトパピローマウィルスがわかっており、その内12種類で子宮頸がんの発症が確認されています(発がんヒトパピローマウィルス)。その中でも16型と18型の2種類のヒトパピローマウィルスが、日本人子宮頸がん患者さんの約60~70%を占めています。

ヒトパピローマウィルスの感染は、主に性交によっておこりますが、このウィルスは、ほとんどの女性が一生に一度は感染するといわれるくらい一般的なウィルスです。多くは気がつかないうちに免疫力により排除され消えてしまいますが、排除されず感染が持続すると、ごく一部(発がんヒトパピローマウィルス感染者の1%未満)の方に数年後から十数年後に子宮頸がんが発症します。ですから、発がんヒトパピローマウィルスの感染が予防できれば、子宮頸がんも予防できることになります。

ではどうすれば良いかと言うと、原因がウィルスですので、他のウィルス性の病気(たとえば風疹など)と同じようにワクチンをうち、免疫力をつけることで子宮頸がんが予防できることになります。そのためにワクチンが開発されました。
現在使用できるワクチンは、日本人子宮頸がん患者さんの約60~70%を占める発がんヒトパピローマウィルスの16型と18型の2種類にしか効果がありませんが、一回免疫力がつけば、その予防効果は、推計で少なくとも20年間は続くとされています。そこでワクチン接種が推奨されるわけですが、すでに発がんヒトパピローマウィルスに感染している方にはワクチンをうってもウィルスを殺す効果はありません。また、発症している子宮頸がんを治す作用もありません。ワクチンの効果は、ワクチン接種以後の感染予防効果のみです。
そこで日本産婦人科医会はまず第一の接種推奨対象として11歳から14歳の女児を上げています。これは、性交経験者が増加し、発がんヒトパピローマウィルスの感染する可能性が高まる前にワクチンをうてば効率が良いからです。
次に第二の接種推奨対象として15歳から45歳の女性を上げています。ヒトパピローマウィルスは主に性交によって感染するため、15歳以上であっても性交経験のない女性はワクチンの効果は得られますし、性交経験のある女性でも発がんヒトパピローマウィルスの16型と18型の2種類に感染していなければ予防効果が得られるからです。
ただ、ヒトパピローマウィルスの16型と18型の2種類以外で発症する30~40%の日本人子宮頸がんや、すでに発がんヒトパピローマウィルスの16型と18型の2種類に感染している方にはワクチンは全く効果がありませんので、ワクチンをうってない方はもちろんワクチンをうった方でも定期的な子宮がん健診を受け、子宮頸がんになる前の状態で発見し治療する必要があります。すなわち、ワクチン接種により発ガンヒトパピローマウィルスの感染を予防することと、定期的な子宮がん検診の受診により子宮頸がんになる前の状態を早期発見・早期治療することで、子宮頸がんは予防できるのです。