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No.210 「帯状疱疹後神経痛」

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2018年03月発信

【発症】

水痘帯状疱疹ウイルスによる感染症。(誘因、症状など詳しくは2004年健康一口メモNo 84を参照して下さい。)多くの場合、発疹や水疱が出現し、抗ウイルス薬を1週間内服すると、跡形もなくなり治癒します。しかしながら、中高年の患者や、免疫力の低下した患者では、皮疹の出た部分にピリピリ・チクチクといった軽い痛みから、焼き火箸でえぐられるようなひどい痛みを経験することがあります。また、この痛みはアロデニアといわれる異常な感覚を伴うことがあり、エアコンの風が当たっただけで不快な感覚を感じたり、気候にも左右され、気圧の変化、分かりやすく言うと、雨が降る前になると痛みが強くなる症状を訴える患者もおられます。日中、何かに集中している時はあまり痛みを感じなくて、夜間周りが寝静まった後に神経が過敏になり、痛みや不快感が出て、眠れないとおっしゃることもあります。

【成因】

これらは身体の神経節に潜んでいた帯状疱疹ウイルスにより、皮疹の出た部分の神経(多くは感覚をつかさどる知覚神経)が破壊された後の修復過程で起こってきます。例えば、神経を電線に例えると、電線を覆っているはずのビニールの一部が剥がれていたり、電線と電線が正しく接続されていない場合に発生するようです。ビニールの剥がれた部分から入らないはずの刺激信号が入ったり、電線の接続不良により一部分に回路が形成され、刺激信号が回路の周りをグルグル回り出したりするといった具合です。これらにより、本来は痛みと感じない感覚を「痛い」と脳が錯覚してしまうのです。そして、この神経の修復は皮疹が出てから3ヶ月程度で完成してしまうといいます。つまり、皮疹が発生してから3ヶ月以内の治療が重要ということです。

【治療】

大きくは2つの柱があり薬物治療と神経ブロックを行います。薬物治療は必ず必要で、主に鎮痛補助薬の投与を行います。一般的な消炎鎮痛薬はまず効果がなく、神経の伝達をコントロールする薬を投与します。具体的には、プレガバリン(製品名リリカ)や三環系抗うつ薬、SNRIといった薬で、本来は“てんかん”や“うつ”の治療に用いるお薬ですが、神経の痛みを抑制する効果を期待して使用します。これらの薬は、帯状疱疹後神経痛の第1選択薬となっています。ただし、高齢者ではふらつきや口渇感、眠くなる副作用が出現することもあり、慎重に投与量を決定しています。また痛みが強く、夜間不眠等の症状がある際には、神経ブロック等を施行することもあります。神経ブロックは交感神経をブロックすることにより、痛みの緩和と、正しい神経修復を促す効果があります。神経ブロックは専門知識を有したペインクリニック等で受けることができますが、神経の近くには血管が走行していることがあるために、心蔵や脳血管の病気で抗凝固薬を内服している場合は施行できないこともあります。薬物投与にせよ神経ブロックにせよ、特に大切なのは早めに治療を開始するということです。治療の時期(約3ヶ月)を逃してしまうと神経痛が完成してしまい治療に難渋します。痛みが強い場合は痛みを我慢せず、一刻も早い受診と治療をお勧めします。

【予防】

2016年に、小児用の「弱毒生水痘ワクチン」が帯状疱疹の発症を予防するワクチンとして50歳以上の成人でも接種可能となりました。ワクチンを接種しておけば、発症の確率が減少し、発症しても軽症ですむ可能性があります。
ワクチンは極めて安全性が高く、帯状疱疹を予防もしくは軽症化できる唯一の方法であるため、50歳以上の方は是非ともワクチンの接種をご検討下さい。(現在は任意接種となります。)