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No.94良い児に育て上げるには

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2005年04月発信

育児とは心身共に社会生活可能な年齢までの養育を言う

IT化などにより世の中の変化は著しいですが、生まれてくる子供は今も昔も変わりはありません。大分古い話になりますが、京大小児科に大変偉い先生がおられました。その門下より9人もの教授を輩出され、西日本を席巻されていた頃、そのうちの1人の先生に教えを筆者も受けました。先生は京大の頃、哲学科(西田幾太郎教授)にも入門していて、人を見抜く力は神がかり的で、回診で少しでもごまかそうものなら、そこを必ずついてきて、目から火が出る位叱られ、皆んな戦々恐々としていました。
その恩師が良い児を育てるには5つの条件が必要だとよく言われていました。

  1. 両親に育てられること。父の厳しさと母の優しさが必要である。
  2. あまり分限者(ぶげんしゃ-金持ち)であってもいけない。
  3. あまりに貧乏過ぎてもいけない。
  4. 一家にとって大きな不幸があってもいけない。特に多感な時期が過ぎる迄。
  5. 育児書を読まない。

今から数十年も前からこの5番目の項目が入っていました。その頃育児書がどの位あったか分かりませんが、要するに子は育てるものではなく、育つものであることを知っておくことが大事だということだと思います。
本来、育児は親から受け継ぐ慣習であり、今の核家族による母親の孤立の時代にあって、いくら優れた育児書を読んでも経験がないと不安はつきまといます。そこで開き直って子供は自ら育つものと腹をくくれと言うことなのでありましょうか。
生まれた子供は腹が減ってくると大声を上げて泣き、母の乳首を一生懸命つっつく。この刺激により初乳が出ます。初乳の中には丸い脂肪を貪喰(どんしょく)している白血球(初乳球)が含まれ、この白血球を顕微鏡で学生に見せるのが当時の講義係の仕事で、これが生まれたばかりの赤ちゃんの感染を防ぐのだと教えていました。3週目ぐらいまでに出る乳を「初乳」と言い、現在では成熟乳に比べて蛋白質が多く、ウイルスや細菌に対する抗体、抗菌物質、腸管を正常に成長させる因子などを含んでいることが分かっています。 
授乳にはもう1つ大事な要素があります。それは親子の最高のスキンシップであると言うことです。動物には本能を司る脳(旧皮質)があり、本能には食欲・性欲・集団欲があり、スキンシップはこの中の2つの欲を満たします。本能が満たされれば気持ちよくなります。だから乳児期には、「あれこれ考えずに溜池の土手にでも行って、空のとんびでも見ながら乳首をくわえさせれば」(山内)それでいいのです。
「幼児期の記憶は永くは残らず、5歳以降の記憶が永続的となる」(Fanconi.G)ため、4~5歳から善悪の躾(しつけ)を始めます。教育は大変難しいものですが,人間は大脳の新皮質が発達してきて、新皮質は下部の旧皮質を抑制します。即ち本能だけで行動する動物とは違って人間には本能をコントロールする能力が出てきます。この4~5歳が教育を始めるときで、そして私の恩師によれば“人に告げることのない善意”というものが分かったら教育は終わるのだそうです。