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No.63腎疾患と血液透析療法

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2002年03月発信

日本では0才から95才以上まで、あらゆる年齢層の20万人が腎不全のために透析治療を受けています。全世界の透析患者の何と3分の1にあたります。このうちの40%が慢性腎炎です。腎臓病は完治することが難しいのですが、正しい診断と適切な治療で腎不全になるのを回避できたり、透析治療を先延ばしにしたりもできるのです。健康診断の基本として、「検尿」が必ず行なわれているのは、この為と言ってもよいでしょう。小中学校において、毎年『学校検尿』が行なわれ、その中から精密検査が必要な子供達も見つかってきます。はっきりした、症状がなくても管理を要する尿所見を有する子どもさんは、大人にわたる10年、20年の未来を見据えた腎疾患への長期的対応が求められます。5年から10年の間に尿所見が正常に戻って行く、予後の良い腎炎もあります。しかし、管理不要となるまでは、きちんとした経過観察が重要となります。

慢性腎不全と血液透析療法

腎臓は体内で生じた老廃物を尿へ排出したり、水・電解質や血液の酸塩基平衡を一定に維持する事で体液の恒常性を維持するとともに、内分泌器官としてホルモンの産生・活性化や血圧の調整などにも関与する。慢性腎不全では数年から数十年に亘ってこれらの腎機能が徐々に低下し(第1期は無症状)、末期に至ると、全身に多彩な症状を認めるようになります。これらの症状は腎機能の低下とともに蓄積する物質の毒性(尿毒素) によって起きると考えられ、慢性腎不全末期(第4期)の病態を尿毒症といいます。

慢性腎不全を引き起こす疾患

西暦2000年1年間で約32,000人が腎不全で新たに透析療法を始めています。一番多いのが糖尿病性腎症からの腎不全で36.6%を占めています。慢性糸球体腎炎が32.5%、続いて高血圧・動脈硬化による腎硬化症が7.6%で年々増加しています。特に腎硬化症の患者さんは透析導入時の平均年齢が72.6歳であり、その他の平均年齢63.8歳に比べ高齢の患者さんが増加してきていることが最近の特徴です。

透析導入のタイミング

血清クレアチニン値が2.0mg/dlを超え、腎不全期に入りますと、そろそろ基礎疾患に対する治療に制限が出てくる頃です。慢性糸球体腎炎では強力な免疫抑制療法が難しくなりますし、糖尿病の場合でも厳格な血糖コントロールをしても腎障害は回復しませんし、低血糖の危険が増します。「いかに残存腎機能を保つか、透析導入時期を先送りするか」というテーマと「上手に透析療法に導入するか」という、相反する2つのテーマで患者さんを診察することが必要です。意識障害などの精神・神経症状、肺水腫、心不全、高カリウム血症といった緊急救命の為の透析導入が必要な事態は絶対避けなければなりません。血清クレアチニン値が8.0mg/dl近くになり、自覚症状が出てくる一歩手前が良いタイミングと考えます。透析導入とは患者さん、家族にとって極めて大きな生活の転換点であり、一歩間違えれば生命危機をもはらんでいます。患者さん、家族の心理状態も十分踏まえた上で肉体的にも、精神的にも上手に透析療法に導入することが大切と考えます。