Home » 健康情報 » 健康一口メモ一覧 » No.41心臓病『学校における心臓病管理』

No.41心臓病『学校における心臓病管理』

» 健康一口メモ一覧

2000年03月発信

心臓検診の目的の一つは心臓突然死の防止といわれます。聴診に加え、小学1年、中学1年或いは高校1年などには心音、心電図検査を実施しています。一次検診で抽出された者は二次検診において胸部X線や運動負荷心電図などの検査を受けます。さらに精査が必要な場合は専門の医療機関を受診し、最終診断を受けます。医療機関において日本学校保健会が定めた「心臓病管理指導表」が作成され、それにより運動制限の必要性の有無など、日常生活の注意事項が判断できるようになるのです。この「心臓病管理指導表」を参考にすることにより心臓が原因となる突然死などの事故はかなり防げるといわれています。多くの心臓病の場合、運動制限は不要です。
最近では重い先天性心疾患は多くの場合、乳幼児期に見つかるようになっています。開胸手術をしないで治療する方法も普及しつつあり、治療方法の進歩により従来助からなかった心臓病も助かるようになってきています。手術適応例の多くは就学前に手術を終えています。ただ複雑な病型の場合は種々の問題を有していることがあります。このような場合は、日常生活に注意が必要です。
不整脈は、心臓検診において心電図検査を実施するようになって以来症状に現れない不整脈も見つかりやすくなり、児童・生徒の心臓病の中で最も多く見られます。(表1)1)
川崎病後遺症で問題になるのは断層心エコー図・心血管造影などで心臓後遺症を認める場合です。
児童・生徒の突然死の大きな原因として、心臓死、頭蓋内出血による死亡、喘息による死亡があげられます。心臓死の原因としては、先天性心疾患(手術後も含む)、心筋症、危険性の高い不整脈などがあげられます。(表2)1) 小学では約70%、中学では約75%、高校では約85%が心臓に起因したもの
です。男子は女子に比べ多く、運動中に起こったものが約50%、運動直後に起こったものが約15%、全体の60~70%が運動に関係しています。学年別では小学4年で多少増加、中学1年で急激に増加、中学の3年間はほぼ同数、高校1年では飛躍的に増加、2年3年で減少します。発生時間は午前10時か
ら12時にかけて、また季節では5月に多いようです。2)
以上のように心臓病は危険な場合もありますが、正しい診断に基づき、対処す
ればよいでしょう。
文献
【1】大国真彦編著:学校医マニュアル 文光堂 1990;100-123
【2】原田研介:児童・生徒の突然死、日本医師会雑誌1996;116:1211-1215

表1

運動制限が不要な不整脈

  • 呼吸性不整脈
  • 冠状静脈洞調律
  • 左房調律
  • 移動性ペースメーカー
  • I度房室ブロック(0.25秒未満)
  • 上室性期外収縮
  • 散発性心室性期外収縮
  • 頻脈発作のないWPW症候群
  • 完全右脚ブロック

運動制限が必要な不整脈

  • 頻発性心室性期外収縮
  • 運動負荷で増悪する心室性期外収縮
  • 運動負荷で増悪する房室ブロック
  • 頻脈発作の伴うWPW症候群
  • 突然死と関連ある重篤な不整脈
  • 完全房室ブロッ
  • 洞不全症候群
  • 遺伝性QT延長症候群
  • 心室性頻拍
  • 左脚ブロック

表2

急死をきたしやすい場合

  • 大動脈狭窄症
  • 特発性心筋症
  • 冠動脈瘤、狭窄
  • 先天性冠動脈異常
  • 冠動脈炎、動脈硬化などによる心筋梗塞
  • 心筋炎
  • 大動脈瘤
  • 心膜部分欠損症
  • 原発性肺高血圧症
  • 先天性心疾患(重症例)
  • 複雑な先天性心疾患の術後
  • 後天性心臓弁膜症(重症例)
  • 一部の重篤な不整脈