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No.147心房細動について

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2010年08月発信

「心房細動」は不整脈の一種で心室性期外収縮に次いで2番目に頻度が高く、年齢とともに増加します。日本人の80歳代で7-10%程度に認められます。
正常な脈の場合、右心房にある洞結節が1分間に50~100回の電気的な興奮のリズムを作り出しています。洞結節が作り出すリズムによる、この正常な脈のでき方を「洞調律」といいます。洞調律とは異なる異常なリズムはすべて「不整脈」ということです。
「心房細動」のとき、心房の中で1分間に350~600回という異常に高頻度な興奮が不規則におこっています。洞調律のとき心房は規則正しく収縮・拡張を繰り返してポンプの働きをするのに対して、心房細動では小刻みに震えるだけの痙攣したような状態となり、ポンプとして働かない状態になります。
この高頻度な興奮に心室がそのまま同調してしまうと、心臓が止まった状態となり、数秒で血圧が低下して意識を失い、すぐに治療しないと突然死をしてしまいます。しかし現実には、心房と心室を連絡する刺激伝導系には、あまりに高頻度の興奮は「適当に間引いて伝える」という性質があり、心室の興奮はある程度速く、不規則にはなりますが、有効に伸び縮みできないほど速い脈にはならないのです。頻度の高い不整脈である心房細動が「致命的」にならないように巧妙な安全装置が備わっているわけです。

この様に心房細動は直接命にかかわる不整脈ではありませんが、以下の3点が問題になります。

心臓のポンプ機能の低下

心臓の主力ポンプは心室で、心房は心室に血液を押し込む補助ポンプです。心房細動では、心房が心室に血液を押し込まない、単なる血液の通り道となってしまい、心臓の能力は15~20%程度低下するといわれています。
正常人は日常生活で心臓の能力を使い切っているわけではないので、他に心臓病がなければ大きな問題にはなりませんが、もともと心臓機能が低下している人の場合は心房細動によって心不全が悪化することがあります。

頻拍(ひんぱく)による症状

頻拍(不整脈により脈が速くなる状態)は、程度はさまざまですが、認められることが多いです。動悸による不快感をもたらし、また程度が強いと心室のポンプ機能にも悪影響するため、必要に応じて脈拍を減らす作用の薬で治療します。

血栓症

心房細動の合併症でもっとも重要なのが血栓症による脳梗塞です。通常は絶え間なく動いているべき心房の壁が、細動で動かなくなることにより血液のよどみが生じ、そこで血液の塊(=血栓)ができやすくなります。心房の中でできた血栓が動脈の血流に乗って流れて、脳の動脈に詰まってせき止めてしまうと脳梗塞を起こします。
これを予防することが心房細動の治療の最大の課題となります。血栓症の予防には血液の凝固因子を抑えるワーファリンという薬を使います。血液が全く固まらないと危険なので、「適度に固まりにくくする」ように投与量を調節することが必要な薬です。

 

治療は上記の問題点の対策が中心になりますが、心房細動が全く起こらないようにできれば理想的です。抗不整脈薬が有効な場合もありますが、100%不整脈を抑制できる可能性は高くありません。近年ではカテーテル・アブレーションという方法で心房細動の原因を根本からつぶしてしまう治療法が行われるようになってきており、心房細動の発作が劇的に減ったり、全く起こらなくなる可能性があります。