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No.48季節はずれ(?)の食中毒

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2000年10月発信

食中毒といえば、大抵は細菌によるものを想像し、涼しくなってようやく食中毒の季節も終わったかと考えられるかも知れません。ところが、最近、ウイルスも食中毒の原因となることが知られるようになりました。食中毒の原因となるウイルスはいろいろありますが、最近とくに注目されているのがヒトカリシウイルスです。このウイルスは一般的には小型球形ウイルス(=SRSV)と呼ばれていますが、現在ではカリシウイルスに分類されています。冬季に発生する食中毒の大部分はウイルスを原因としていますが、その中でも90%以上がヒトカリシウイルスによって起きています。そしてその多くは、生カキ(牡蛎)の喫食と関連していることが判ってきました。このような事情で、平成9年5月に食品衛生法が一部改正され、食中毒の原因として小型球形ウイルス等が追加されました。ヒトカリシウイルスは晩秋から初冬に流行期があ
り、ヒトからヒトへと感染していきます。ヒトの小腸で増殖したウイルスは糞便中に排泄され、下水から海域へと流出して行きます。この時期、海に生息する生物はこのウイルスに暴露されます。このため、海水中にごく微量含まれるウイルスが貝の中腸腺に蓄積され、出荷された未加熱のカキなどを食べることにより感染を受けてしまいます。これが冬季にウイルス性の食中毒が多い理由です。食中毒以外にも、このウイルスは、様々な伝播形式で感染しますので、これからの季節、ロタウイルスとならんで、急性胃腸炎を引き起こす主役となります。

SRSV胃腸炎の特徴

37~38℃の中程度の発熱と腹痛・嘔吐・下痢を主訴とし、特に嘔吐の発現率が高いのが特徴です。胃腸炎症状は、加齢とともに一般には軽減化しますが、下痢等が重症化することもあります。SRSVの潜伏時間は、食中毒事例も含めて、12~48時間、平均して36時間程度です。最近、乳幼児の感染例で、胃腸炎を発症したのちに、無熱性のケイレンを続発したとの報告もあり、注意を要します。食品で注意すべきは、カキ等の魚介類にとどまらず、サラダ・アイスクリーム等が挙げられます。特に、3歳以下の子供に、刺身や生卵といった生物を与えるのは禁物です。食品以外にも、キャンプ場の使用水やプールの水も汚染源となり得ます。
感染は、ウイルスに感染した食物や飲料水を口にしたとき、あるいは、ウイルスが自分の手について、それが口の中に入ったときに起こります。

SRSV胃腸炎の予防法

普段から、ていねいな手洗いを心がけ、タオルは共用しない等の工夫が必要です。特に、オムツを扱うお母さんや保母さん方は手洗いをまめにするようにしましょう。また、清潔な手と調理器具で、しっかり加熱した食品を、作ってすぐ食べさせるのが、食中毒を防ぐ基本です。

家族内の二次感染を防ぐために

  • 患者の便のついた衣類やおむつは、ゴム手袋をして扱い、ほかのものと分けて洗ったあと、十分に天日乾燥させる。
  • トイレで排便したあとは、手を石鹸でよく洗い、洗い流したあと、市販の消毒手洗い液や消毒用アルコール等で消毒する。
  • 患者が触れた水洗の取っ手、トイレのドアのノブなどの消毒も忘れずに。
  • 患者が入浴した場合は、そのあとの湯に乳幼児を入れたりしない。

罹ってしまったら、早めにかかりつけ医の診察を受けましょう。

観察のポイント

  • 便の状態、回数に注意し、体温を測る
  • 水分を十分にとらせ、脱水症を防ぐ。
  • 安易に下痢止めの薬を服まさない。(必ず医師の処方を受けましょう。)

再受診の目安

  • 血便が出た。
  • 発熱し、激しい腹痛もある。
  • 皮膚が乾燥し、ぐったりして尿量も少ない。