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No.43喘息児の運動誘発喘息とその予防法

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2000年05月発信

喘息児が体育の授業でランニングなどの運動をした際、喘息発作を起こすことはよく知られており、この現象を運動誘発喘息(exercise induced asth-ma:以下EIAと略す)といいます。EIAは重症な患者、発作がコントロールされていない患者、強度が高い運動を持続する場合や、冷たく乾燥した環境で起こりやすく、かつ、強く起こります。
EIAの発生機序はまだ不明な点も多いですが、その成因は、運動時の換気増大による気道の冷却と水分喪失に伴う気道上皮の浸透圧の上昇が重視されています。運動負荷テストを行い肺機能を経時的(時間を追って)に測定すると、肺機能が最も低下するのは運動終了後5~10分で、多くの場合特に治療をしなくても20~30分後にはほぼ運動前値まで肺機能は回復します。家庭や学校生活で日常的に運動する機会の多い小児においてはEIAを生じることによってQOL(生活の質)を損なったり呼吸困難を生じるために運動を忌避してしまうこともあります。EIAの機序や特徴を理解し、それに基づく対処法を指導し、喘息児のQOLを高めることが大切です。

EIAの予防法

1.軽度のEIAを生じさせる事前運動

EIAには不応期(反応しない時期)の存在が認められ、一度EIAを起こすと2時間ほどは運動しても呼吸機能の低下はないか、減少することが知られています。この不応期を得るためには、軽いウオーミングアップでは不十分であり、軽くEIAを出現させる程度の運動負荷を本番の運動の前に行うのがよいと考えられています。

2.薬物による防止

喘息予防として、テオフィリン薬や吸入ステロイド薬が適切に用いられていれば多くの場合 EIAの予防効果も認められます。速効性のあるEIA予防薬(吸入薬)として代表的 な薬物はDSCGとβ2刺激薬です。普段から、かかりつけの医師と、よく相談しておきましょう。これらの薬物を運動する15分前に吸入すると、通常のスポーツに十分対応できるEIA予防効果があります。

3.マスクの着用による予防

マスクの着用は、空気の入口部の湿度と温度を保持することによって、気道の冷却と気道の水分喪失を防止する効果があり、EIAを起こしにくくします。冬季に行われる学校の早朝マラソンや自転車通学時のEIAの予防に有用です。

 

子供は学校の体育授業、クラブ活動、地域でのスポーツクラブなどの運動を行う機 会が多く、運動により多くの有益なものを習得します。EIAを起こす喘息児に対して、 喘息の増悪因子としての運動を遠ざけることで問題を解決しようとするのは早計です。
運動誘発喘息の本質をよく理解し、保護者、教師、医師が十分な連携のもとに喘息児 のQOLを高める努力をしてほしいものです。
(参照:小児気管支喘息 治療・管理ガイドライン2000)