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No.73乳児期の細気管支炎

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2003年03月発信

生後1ヶ月の男児。1月20日より咳が出始めたが発熱はなかった。哺乳力はやや低下している。1月23日近医を受診。全身状態は良好だったので、感冒として投薬を受けた。しかし、同夜より元気がなくなり、全く哺乳できなくなり夜間急病センターを受診。顔色不良、陥没呼吸、無呼吸発作を認め、緊急入院となった。―――このような症例は、冬になれば小児科ではよく経験する。
乳児における急性細気管支炎は、パラインフルエンザウイルスやインフルエンザウイルスによるものもあるが、主としてRSウイルスが原因となる。RSウイルス感染症は、冬季から春先にピークがある。散発例は、ほぼ通年性に見られる。

症状

潜伏期間は4~6日間で、水様性鼻汁、咳嗽などの上気道炎症状が2~3日続いた後、呼気性喘鳴、多呼吸、陥没呼吸、チアノーゼ、哺乳力低下、などが認められる。乳児では無呼吸発作を生じることがある。発熱は軽度のことが多い。通常は2~3日で軽快する事も多いが、3ヶ月未満の乳児や基礎疾患(先天性心疾患、新生児慢性呼吸器疾患など)を有する児は、致死的となることがあるため注意が必要である。

診断

聴診では、呼吸音減弱、呼気性連続性ラ音、を認める。胸部X線写真で全肺野の含気量増加、透亮性亢進を認め、部分的無気肺像を伴うことがある。咽頭ぬぐい液、鼻汁でRSウイルス抗原迅速診断が可能である。

治療

特異的な治療法は確立されておらず、呼吸循環管理を中心とした対症療法が重要である。

予防

まず第一に注意すべきは、家庭での予防である。

  1. 幼若乳児がいる家庭では家族全員が帰宅時に手洗い、うがいを励行すること。
  2. 上気道炎症状のあるものは乳児に接触しない。
  3. 受動喫煙に注意する。
  4. 乳児をヒトの出入りの多い場所には連れ出さない。
  5. 先天性心疾患や慢性肺疾患のある乳児、幼若児は、感冒症状があれば早急に小児科専門医を受診させる。
  6. 抗RSウイルスヒト化モノクロナール抗体であるパリビズマブ(シナジス)は抗ウイルス力価が高く、少量の筋肉内投与で十分な予防効果を発揮する。(しかし、現在日本では、未熟児で出生し慢性肺疾患を残す例など限られた症例にのみ予防投与が適用されている。)

RSウイルスと気管支喘息との関係

Sigursらの報告によれば乳児期の細気管支炎罹患は将来の気管支喘息発病のリスク因子として最大である。RSウイルス感染症乳児では対照児の10倍に及ぶ30%の例が将来喘息を合併することになる。さらに、RSウイルス感染はアレルギー感作を高めることも明らかにされている。