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No.121乳児喘息

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2007年12月発信

近年、小児喘息全般のコントロールが良好になってきた中で、乳児喘息だけが唯一未だ充分にコントロールされていない状況にあり、薬物治療にも独自の注意が必要です。

一般に、2歳未満の喘息児を乳児喘息として扱います。乳児では感染の影響を強く受けるため、気道狭窄症状が出現すると症状の進行が速く、呼吸困難症状として頻呼吸、陥没呼吸などに加え不機嫌、不穏、嘔吐、腹部膨満,入眠困難などを呈し他疾患との鑑別が困難な場合も多く、その診断には苦労します。世界的にも未だ確固たる診断基準はありませんが、現在用いられている小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2005では、乳児喘息診断基準を「気道感染の有無にかかわらず明らかな呼気性喘鳴を3エピソード以上繰り返すもの。エピソードとエピソードの間に、無症状な期間が1週間程度以上存在する。」としています。乳児喘息の診断基準は喘息でない患者も喘息と診断してしまう可能性があるので、長期管理薬物治療を行う場合には、診断が正しいことを繰り返し確認する必要があります。

乳児喘息の急性発作に対する対応は、基本的には小児喘息のそれと同様で、β2刺激薬の吸入、アミノフィリン点滴静注、全身性ステロイド薬投与、イソプロテレノール持続吸入などを症状に応じ加えていきます。β2刺激薬の吸入効果は、気管支平滑筋の発達が未熟なため乏しく、啼泣によりさらに低下します。0.1mlから開始し反応が悪ければ0.3mlまで増量可能であり、ジェットネブライザーにフェイスマスクを付けて吸入すると効果的です。さらに、吸入前後の鼻腔吸引で鼻汁や喀痰を除去すると、吸入効果や呼吸状態の改善に有効なことがあります。SpO2<95%では積極的に酸素を併用し低酸素血症に陥らないように注意する必要があります。

長期管理では、キサンチン製剤は血中濃度の管理が難しい割りに効果が期待しにくく、その使用に当たってはテオフィリン関連痙攣の問題もあり注意を払う必要があります。β2刺激薬の吸入と貼付薬は比較的安全かつ効果的に使用できます。乳児喘息においても、持続型喘息に対する長期管理薬物治療の主役は吸入ステロイド薬です。2006年に本邦においても吸入ステロイド薬の懸濁液(プデソニド吸入懸濁液)が使用可能となり、乳幼児にも容易に使用できるようになりました。しかし、その適正使用に対するデータは本邦ではまだ少なく、今後使用経験を積み重ね最適な使用法が明らかにされることが期待されています。生活指導の面では、家庭環境の整備、感染や受動喫煙の回避が重要です。