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No.83ピロリ菌感染について

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2004年03月発信

胃の中は強い酸〔胃酸〕があるため、昔から細菌はいないと考えられていましたが、1983年にオーストラリアのWarrenとMarshallが胃かららせん形の細菌の分離培養に成功し、その後らせんの形態を表すhelicoidからヘリコバクター・ピロリ(H.pylori)と命名されました。約3μmの細菌で人の胃の粘膜の表面や細胞の間に入り込んで炎症を起こします。
H.pyloriは年齢の上昇とともに感染率が高くなります。感染率は一般に開発途上国で高く、先進国で低いことより、わが国でも衛生状態のよくない時代に生まれた人が本菌に高頻度に感染し、40歳以上の成人では70~80%の感染率とされています。一方小児での感染率は、1-5歳で10%前後、10歳の小児で15~20%前後といわれています。乳幼児期の口移しでの摂食習慣は、厳に慎まねばなりません。
感染経路については十分には解明されていませんが、口→口、糞便→口の経路でヒトからヒトへ感染するのではないかと考えられています。

ピロリ菌が胃・十二指腸潰瘍などの病気に深く関わっていることが明らかになってきました

ピロリ菌に感染すると胃に炎症が生じることが確認されています。胃、十二指腸潰瘍の患者さんはピロリ菌に感染していることが多く、潰瘍の発生、再発にピロリ菌が関係していることがわかっています。さらにピロリ菌に感染している胃、十二指腸潰瘍の患者さんに対して除菌をおこなうと大部分の潰瘍の再発を抑制できることが実証されました。
現在では、消化性潰瘍に対しては除菌療法が第一選択の治療となっています。
ただし、ピロリ菌に感染すると必ず潰瘍になるわけではありません。日本人のピロリ菌感染者の数は約6000万人といわれていますが、ピロリ菌が原因で胃潰瘍や十二指腸潰瘍になっている人はそのうちのごく僅かです。
胃癌との関連では、感染による胃粘膜の持続的な炎症を基盤にして胃癌が発生すると考えられることから、その因果関係についての研究が進んでいます。

ピロリ菌に感染しているすべての人が除菌治療を受けるわけではありません

ピロリ菌感染を診断するには、大きく分けて胃カメラで胃の組織を採る方法と、胃カメラを使用しない方法がありますが、それぞれの検査の特徴を理解した上で選択されています。また、ピロリ菌に感染しているすべての人が除菌治療を受けなければならないわけではありません
日本ヘリコバクター学会の定めるガイドライン(2000年2月)によれば、(A)除菌が勧められる疾患として、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃MALTリンパ腫、(B)除菌が望ましい疾患として、早期胃癌に対する内視鏡的粘膜切除術後胃、萎縮性胃炎、胃過形成性ポリープ、(C)その他除菌治療の意義が検討中の疾患、と分類されています。
現在のところ保険診療が出来るのは胃、十二指腸潰瘍のみですが、除菌治療の適応については、薬の副作用も含めて医師とよく相談することが大切です。