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No.55「環境ホルモン」で未来を奪われないために

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2001年05月発信

一時は毎日騒がれた「環境ホルモン」も関心が薄れたかのように見えます。しかし、事態がそれほど改善されたとは思われません。むしろ、毎日生み出される無数の環境化学物質の長期的影響については不明なことも多く、一層注意深い対策が問われてきています。

「環境ホルモン」とは?

1996年にコルボーンらが発表した『奪われし未来』は、環境に放出された化学物質が生物のホルモン=内分泌代謝を乱す、とりわけ生殖・種の保存に関わるような「内分泌攪乱物質」になっていることに警鐘を鳴らしました。
これをもとにミシシッピワニの減少などの例を紹介したNHKの放送がこれを「環境ホルモン」と表現したために、この呼び名が日本では一般化してしまいましたが、微量でも有害なものであるという認識が曖昧にされてはいけません。

身の回りにある「環境ホルモン」

リンの何倍もの猛毒でもあるダイオキシンは、極微量では女性ホルモンを攪乱させることも判り、その原料となる塩ビ製品などを学校でも焼かないようにしたことは記憶に新しいことですが、給食用の樹脂製品からのビスフェノールやプラスチック可塑剤のフタル酸エステル、あるいはカップラーメンなどの容器に使われるスチレン類、その他多くのホルモン作用物質が身近にあふれています。このような物質への反応の種差・個人差を生み出す遺伝子レベルの違いが学会でも追求されてきていますが、いずれにしても危険性を疑われるものを減らしていく努力が原則に変わりはありません。

脳神経の発達と「環境ホルモン」

一時子供たちの”キレる”原因としての環境や食事などが話題となりましたが、このような神経行動異常や脳機能の発達に対する微量化学物質の影響の研究も注目され、各所で進められています。
脳神経細胞の発生から分化・増殖・機能発現に至る細かなプロセスの中では、微量であっても影響が出ることは容易に想定される事です。既に日本では有機水銀による「胎児性水俣病」の先例もあり、上記ミシシッピ周辺の子供たちの知的障害の報告もあります。

未来を奪われないために

欧米や日本での精子数の減少も指摘される中、「少子化」がこれらによって促進されているおそれもありますが、本当に未来を奪われないためには、やはり自分たちの生活の中からこのような物質を環境に出さないような取組みが問われています。ゴミを減らし、塩ビやプラスチック類の使用を減らし、農薬や添加物などを極力避けていくなどの努力が必要でしょう。